1. ラスト一年だし楽しいこといっぱいしたいねって、そんな母たちの企画で、閉園後まで年長さんだけ残ってのご飯会をした。

有志母たちがキッチンで60人前のロコモコ丼を作ってくれている中、外では珍しい光景が繰り広げられていた。

「せーーーーの!ばぁーーーーーっ!」

「ウキャキャキキャキャ!」

「ばばばばばーーーーーーー!

「ウキャキャキャキャキャ!」

笑い声にふと目をやれば、特大のトランポリンの上には女子が7人と男子が3人が大爆笑しながら遊んでいた。

おかしなことをやって笑わせる男子と

笑かされるがままに爆笑する女子たち

何がびっくりしたって

メンツがあまりにも見たことのない、普段あまり遊ばないような顔ぶれだったことだった。

いつも会話すらしないような子たちが

「青組さんのご飯会だよ」

ってなっただけで、こんなにも仲睦まじく遊んでいることに、それはそれは驚いた。

「○○(男子の名前)おかしいねぇ」

「ねぇ!」(女子一同)

いやいや、あんたたち、お互い名前知ってたんだね。普段挨拶すらしないじゃんね(笑)年少と年中、丸2年共に通っていると普段は交わらなくとも自然と「なかま」っていう感覚が、この人たちの中にはしっかりと根付いているのかもしれないと思った。と、同時にとても嬉しかった。

コロコロと違う遊びを生み出しながら、トランポリン劇場は続いていた。いつもと少しだけ違う光景が少し陰り出した夕日に照らされて、私の目にはとても感動的にうつった。

みんなで同じご飯を食べて

蝉の羽化を見に夜の沢へと冒険へ出かけた。

朝は「さわいかなーい」と言っていたから、全く準備をしてこなかった。

だのに娘は「え、みんな行くならいく」という。そうなるか。まぁ、そうなるよね。「じゃぁ、慈は園舎で待ってるね、行っておいで」というと「ならいかない」という。

これは、行きたいけど慈が一緒がじゃなきゃ嫌だということを示している。

きっとドロドロだし

蝉の羽化とか正直興味ないし

用意してきてないから寒いし

何も夜に行かなくても、、、

下の1歳児を抱っこで沢とか苦行でしかない。

行きたくない、が母の本音。

どうしよう、、、と思っていたら

「もしかしたら、蝉もういないかもしれないけど、今日という日は今日しかないしね」って誰かが言った一言が胸に突き刺さる。

え?いまあたしに言った?

そうだ。彼女にとっての今日という日は今日しかない。意を決して、スリングを借りて12kgの下の子をおんぶして、かなりの軽装で沢に降りた。

スタッフがあらかじめライトを設置しておいてくれていて、そのライトに照らされた夜の山の中が、幻想的すぎて震えた。

「いた?」「いなーい」「ねー!どこー?」「ここいるかもー?」沢に響く子どもたちの声。こんな経験なかなかない。蝉は満月に羽化するらしく、結局今日のところは見れなかったけど、流れる空気をこのみんなと吸うことができて、心底きてよかったと思った。

蝉は5年土の中にいて、この時期に羽化してたった一週間で死んでしまうのだという。

5歳になった彼女彼ら。35歳のわたし。

そう。今日という日は今日しかないのだ。

shishidochika

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