3日目の朝は青森のホテルで迎えた。安定して入る電波で開くSNSから電気復旧のニュースなどを見て一安心。
でも、仲間が支援活動をしてるのも目に入ってきて、気になる。被災経験があるだけに、向こうにいたらあたしも…気持ちが行ったり来たりする。いや、でも目の前には子どもたち。あっちにいても今はあたしは何もできないと思い直す。むしろ、子連れだし支援が必要な人。
「今はきっとフェイズじゃないってことなんだね」あらためて311の時、子どもがいた友人たちのことを思い出す。自分だけじゃない、守るべき小さい人たちが目の前にいる気持ちが、7年越しでようやく腹に落ちてきた。比じゃないと思った。5時間半かけて、青森から福島まで移動した。高速をただひたすらベタ踏みで走るのも7年ぶりだった。一人で北海道に来た時の逆の道を辿ってる。戻らされてるなと思った。
夕方実家について、一息のはずが、あれ?そこまで落ち着けない。とりあえず出て来てみたはいいけど「ここじゃない感」と「誰かに会いたい感」。携帯で仙台にいる心の母であり姉的な存在の友人に電話をした。声を聞きたかった。
「大丈夫かー?」優しい聞き慣れた声に一気に緩む。「待ってたよー。ちかちゃんからヘルプが来るの〜」2週間くらいこっちにいることにしたと言うと「郡山の家空いてるからいくらでも使いな!明日にでもいきな!」と。
「今は慈ちゃんたち自身が、とにかく自分たちの生活を立て直して、力貯める時だから!サポートするから!とにかく力溜めて北海道帰りな!いいんだよ!それぞれの役割があるんだから」と力強く言ってもらってパキンと目が覚めた。モヤモヤしてる場合じゃない。あたしにはあたしのやることがある!と感じた。
腹が決まると落ち着く?のか?夜は、ひさびさにぐっすり眠れた。約1000キロの車移動。疲れてたけど、心配転じて孫たちの顔を見れて嬉しそうな両親の顔。やっぱり来てよかったなと思った。
福島に戻ったら、まずはお墓参りに行こうと決めていた。朝から子どもたちを預けて、孝介と2人で母方の祖母たちの眠るお寺へ。雨の中のお墓はものすごく静かだった。お昼は「心配したから会いにきたい」という孝介の両親も合流して、両家でランチ。両家が揃うのはコマの七五三ぶり。予期せずが嬉しそうなじじばばたち。こういう流れだったんだな。
父方お墓のある南福島。昔住んでた街。
10年ぶりくらいにきた。
「18歳から26だから、、、」
「8年も住んだんだね」
「そう。そういえばその前に住んでたとこも8年で引っ越してるわ」って話してて気づいたけど北海道にきてから来年で8年だ。このタイミング、なんの因果かな?と思った。
お婆ちゃんたちのお墓、ずいぶん来てないとは思ってたけど20年近くご無沙汰。ごめんね、ばぁちゃん。12人も子ども産んで、農地解放で100竃作って、選挙で死んだスーパー婆ちゃん。今この婆ちゃんの血が必要。婆ちゃんよろしくね。
夕方友人の家に着くと、大好きな人たちがわんさか集まっていた!入るなり美味しそうな餃子の匂い。「ちかちゃんおかえりー!北海道どう?」なんて話しながらみんな黙々と餃子を包んでた。カオス。昨日「明日ご飯作りに行くから!みんなも呼んどいたから!」ってラインきてたけど、ここまでとは!6家族15人。
「スーパーに物なくてさ」「電気通らなくてさ、、、」「うんうん、わかるわかる。あるあるだね〜」「やー、思い出すね〜」「大変だったね〜」全部説明しなくても有無を言わさず共有できてしまう安心感。これだ、これをあたしは求めてたんだと思った。
「慈ちゃんこれ!タオルとかお野菜とか!」「お米とソーメン買っといたよ!」「テレビ持ってきた!」「器とグラスもあるよ」「あ、布団これね」「しばらくいるんだね。いくらでもいていいから」「とにかく仕事して帰んな!」
空っぽだった家に、みんなが続々と物を集めてくれてあっという間に暮らせるようになっていた。もう、みんなーっ!愛してるすぎるよーっ!
「のもーのもー!美味しいもの食べて飲むのが一番!」
あたし、やばーい。うまーい。しかいってなかった。食べて飲んで笑って泣いてハグして「明日学校だからー!じゃーねーっ!」ってみんな帰ってった。家を貸してくれた友人家族なんて仙台までこれだけのために来て帰ってった。どんだけよ!この仲間!あたしの故郷最高すぎるよ!
「この恩は一生忘れない」て素っ頓狂なラインしたら「いや、忘れなさいwww」っていわれて爆笑。
「間違った!この恩は絶対循環させる!」だと。
「それそれ!慈ちゃんが近ちゃんらしくあることが、恩返し。エネルギー溜めて、たくさんの人に循環させてあげて」と。そうだ。ココがきっとあたしの役割。
そんな訳で、無事に落ち着きました。
心配ありがとう。
で、「会いたい人に会う」をモットーに23日までは本州にいると決めました!福島はやっぱり聖地だったイマココ。原点回帰です。
さぁーーー!パワー溜めて帰るぞー!