コラム

わたしの望む世界

戦争にいっていたお爺ちゃん

 小さい頃、わが家にはお爺ちゃんとお婆ちゃんが一緒に暮らしていて、三人姉妹の長女だった私はお婆ちゃんとご飯を食べたり、お爺ちゃんが幼稚園のお迎えにきてくれたりと、両親よりも祖父や祖母に育ててもらった記憶の方が多い。しかしながら、ちょっと変わっていたのは、お爺ちゃんは父の伯父さん(養子に出された)で、お婆ちゃんは母の母であったことだった。赤の他人の祖父母との同居、今考えたらなかなかすごい家庭環境。でも私にとってはそれが普通だった。お爺ちゃんは戦争に行った後、抑留され婚期を逃し結婚ができなかったと聞いていた。お婆ちゃんは前の旦那さんを戦争で亡くし、再婚同士の間にできた子どもが母だった。

 あれは私が幼稚園生ぐらいのことだっただろうか?お爺ちゃんの部屋の縁側で日向ぼっこをしながら聞いた、戦争に行っていた頃の話が蘇る。「仲間はみんな死んだ。流され食べるものもなく、服のベルトや革靴も食べた。戦争なんてするもんじゃない。」いつも口数の少ないお爺ちゃんから出た重く悲しい言葉。記憶こそ朧げなものの、その時感じた言葉にできない感情が、大人になった今も私の心の深いところにずっとある。戦争なんてするもんじゃない。

 そんなお爺ちゃんが家でお婆ちゃんに対して腹をたて、包丁を持ち出したことがあった。最近になってふいに母に「そんなこともあったよね」と話したら「嘘!あんた覚えてるの?」と言っていたから、やはり幼稚園か小学校に上がるか上がらないかの頃の出来事だったと思う。なんと言ったかはよく覚えていないけど、それはそれは凄い剣幕でおそらく「殺してやる!」的なことを言っていたと思う。でも小さな私にとってはその言葉よりも、いつも優しいお爺ちゃんがどうして!?という衝撃の方が大きかった。小さいながらに、お爺ちゃんの中にある悲しみが出てきてしまったのだと思った。お爺ちゃんが悪いのではない、戦争や社会がそうさせてしまったんだと思った。

 晩年は河川敷の畑に出て私たちに食べさせる野菜を作り、自転車での孫三人の幼稚園送り迎えを日課にし、大相撲を見て、大五郎を2カップ呑んで寝る。中学生ぐらいになった私は、こんな単調な毎日のどこが幸せなんだろう?と疑問に思ったりもしたけれど、彼にとってはそんな淡々とした日常が何よりの幸せだったんだと、大人になった今なら理解できる。

 

どうして世界は平和にならないの?

 そう、私はそんな原体験から「どうしてもっと世界は平和にならないんだろう?」と思っていた。幼稚園に通う4歳や5歳の頃からずっと。どうしてみんな笑っていられないんだろう?と考えていた。今考えたらチョット変わった子どもだったのかもしれない。

 だから、私の十代の頃の神社でのお祈りは決まって「世界中のみんなが一斉に笑っていられる一瞬をください」で、今この一瞬だけは世界中みんな笑っているという瞬間があったら、世界はそこから変わっていくんじゃないかと思っていた。今となってはなんて他力本願なお祈りだ!と思うけれもど、青春時代もやっぱり本気でそんなことを考えていた。裏を返せば、そんなことを考える自分自身が生きづらかったからというのもそう思う大きな理由のひとつで、回り道もたくさんしてようやっと今こうしてそのことを言語化できるようになった。あたしも大人になった(笑)

淋しそうな大金持ち

 20歳の頃、ホステスとして働いていたニュークラブで出逢った大金持ちのMさんという人がいた。彼は30歳にもかかわらず年収は軽く億を超えていて、フェラーリを乗りこなし、アルマーニのスーツにフランクミューラーの時計をしていつもクラブに現れていた。ひょんなことから指名を貰うようになり、彼が来ると隣が定位置だった私は、いつも彼が連れてくる人たちに違和感を覚えていた。毎晩フルーツ盛り合わせにピンクのドンペリを何本も空け、ビップルームで豪遊している彼なのだけれど、一緒に来る人は大抵、いつも彼の言いなり。もしくはご機嫌伺い。彼ではなく彼のお金しか見ていないのが20歳の私にも見え見えだった。彼が何を言っても「おっしゃる通りです」と持ち上げ、トイレに立てば悪口を言う。いつだって顔色を見て嫌われないように、できるだけ好かれるように徹する。一緒に来る人だけでなく、ボーイも含めた周りの人はみんなそうだった。そのことにMさん自身も気づいていたはずなのに、その壇上から決して降りようとしない。むしろ降りるのが怖いというように感じた。「母子家庭で、すっごく貧乏だったんだ。だから絶対に大金持ちになってお母さんを楽させてあげたいと思ってね」いつだったか珍しく酔っぱらった彼がポロッと言っていた言葉が忘れられない。本当はとてもとても強く優しい人。なのにその優しさゆえ、利用されてしまうこの社会。強さゆえ、歪んでいってしまうその人自身。「お金だけでは人は幸せになれない」指名を貰っていた私自身も、そちら側の人間の一人だったのかも知れないという自戒を込めて。いつもどこか淋しそうな彼から教えてもらうことは多かった。

OK(承認)ではなくYES(肯定)!

 さて、時間軸を現在に戻してみる。戦争をして負けて、それでも、その後もの凄く頑張ってきた日本。豊かになってきた「はず」の私たちの社会。じゃぁ、なぜ幸せな人が増えないんだろう?とふと思う。むしろ、どうして自分を認められず、他人に評価を求め(以前の自分も含めて)る人がこんなに多いのだろう?と思う。世代を超えた戦争の余波かもと感じるし、成長させることに気を取られていて社会全体が、生きる目的を見失ってしまったからなのかも?とも思い馳せる。

 少なくとも私は(きっと多くの仲間もそう)もっと本質的に豊かで幸せな日本、世界を次の世代に手渡していきたいと思っている。すると、じゃぁ「あたしはどういう世界を望んでるんだろう?」「どんな世界を作りたいんだろう?」ということにアンテナが立つ。そんな今降りてくるのは「一人一人が自分らしく生きられる社会」。ここで言う「自分らしく」とはオギャぁと産まれたときに持ってきた「これをやるんだ!」を全うできている状態のことを指していて、決して誰かの決めた「らしさ」をの枠に捉われるものではない。100人いれば100通りのらしさがあって然るものと思うし、その答えは外ではなく自分の中にある。自分自身とは?と自分を知るプロセスには、自己肯定感が満たされることが不可欠と感じている。自分自身が満たされて初めての自立、その自立した者同士が支え合ってはじめての互助、パートナーシップ、コミュニティへと広がっていく。それならば、みんなが笑顔の一瞬を神頼みするよりも、黙々コツコツとそのための手段方法をクリエイトしていった方が100倍楽しいし、最短の近道と心得る。

 例えば真摯なものづくりをする作り手や生産者のものを、それらを必要としている人たちに繋げることで、彼らの自己肯定感が上がり、それを手に取った人たちも自己肯定感が満たされるという好循環。その循環が可能な場やネットワークを作ること。社会全体的に消費だけじゃなく、応援する、投票する、循環させる、という選択ができる選択肢を増やすこと。流通だけに限らず、ヒトモノカネ全てに於いて、OK(承認)ではなく、YES!(肯定)で循環させていくというビジョンがある。

 これが今の私の答えだし、私自身が持って産まれた「これをやるんだ!」のひとつは間違いなくこの道の先導者、案内人であることだと感じている。この流れの先には「一人一人が自分らしく生きられる社会」が、先の先には…世界平和があると信じている。モチベーションはお爺ちゃんもMさんも報われる社会を作れたら最高!やって駄目なら修正すればよくて、まずは信じて進むと決めました。震災やら出産やら色々ありまして、随分遠回りしたけど、ようやく辿り着きました。

 まだブレスト途中ではあるけれど、今の気持ち残しておきたいので書き溜めました。
そんなわけで、このビジョン実現のために、4月から我が家の定収入の8割を手放して本気で挑戦中です。貯金もない我が家なので、現在ほとんど一文無しw(キョエー!人生でそうそうない底感で、結構笑える!)なのに、Uの谷を下り切ったから、後は全力で登るだけ!と、こんなに前向きになれているって不思議です。だからこそ声を大にして言えます(普段は遠慮して言えないタイプなんです)。応援宜しくお願いします!!!

モノでもお金でも大歓迎。きっと絶対に好循環にして返してみせます。
敢えてここにこう書くのは、そういう社会を作りたいから自分たちが自分たちに妥協をしたくないから。新たな社会のロールモデルになると決めた、まずは私がという実験でもあり、かなりの勇気をもってのトライでもあります。Yes! Good luck me!

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わたしの望む世界” に4件のコメントがあります

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