コラム

シアワセの物技交換 〜せたな海フィール2018レポート〜

「ちょっと司会お願いできないかな?」
北海道のせたな町で完全放牧で牛飼いをする村上牧場の健吾くんから打診があり、慈は2つ返事で了承した。

その段階ではどんな企画をやるかも決まっておらず
むしろ「どうしたいいと思う?」と、そこからの相談だった。
求められる司会の内容も謝礼も、当然わからない。
でも「やる」と即決できたのには、彼らの生き方が好きだから。
仲間が困っているなら手伝うよ。という自然な流れだった。

仕事にも暮らしにも隔たりがなくって、それぞれの生き方を尊重し合える彼らと楽しい時間が過ごせること。
それがきっと僕たちにとって最高のリターンなのだ。
子どもたちにとってもまた。

数度の打ち合わせを経て企画もまとまり
テーマも決まった「これが僕らの生きる道」。

来年公開予定の大泉洋主演の映画「そらのレストラン」。
そのモデルとなった、健吾くんや山の会のメンバーたちの素顔や日常、日々感じてること考えてることなどをありのまま聴き、伝えていくというのがトークがメイン。

登壇者は
大泉洋演じる主人公・亘理のモデルとなった村上健吾くん
15年自然栽培を行なっている秀明ファームの元ミュージシャン農家・富樫一仁さん
日本にスロウフードを広めたスロウフード界のパイオニア、マーレ旭丸船長の西田たかおさんの3名。

慈が引き出した話の節々には、学びがあり、時代を行ったり来たりしながら、そのライブ(生き様)がリアル、でそれはそれは面白かった。

イベント終了後、健吾くんに
「ありがとうね。話しやすかったよ。これだけ話しやすいトークは初めてだった」
と言ってもらえたのが司会者殺しの最高の褒め言葉だった。
やりがいがあったってもんです。

え?僕は何もしてないじゃないかって?
慈が司会でステージでべったりだったので
こういう場合、僕は基本子守り担当になるわけで。
ここぞとばかり、子どもたちといっぱい遊んでました。

あとはちょっとだけ動画の撮影。
何度かカメラが三脚から落ちてしまうというトラブルはあったけど。
海をバックに演奏されたtetoも、中田雅史のライブも
もちろん、マルシェやフードの出展者も筆舌尽くしがたかった。

これで終わりと思う事なかれ。

まだまだ続く、海フィール!

イベント終了後は、会場でバーベキュー!
イベントだけにきて、このBBQに参加しなかった人は、本当にもったいなかったなと思う。

マーレ旭丸で釣れたてのイカやホタテ
村上牧場のグラスフェッドビーフ
他にも山の会メンバーの野菜などがずらり並んだ。
さらに札幌のイタリアワイン専門店がこの日のためにセレクトしたワインが何本もときたもんだから、ついついお酒が進んでしまう。
こればかりはしょうがない。
だってこれぞ「そらのレストラン」。
日本全国、いや世界どこへ行っても、こんなバーベキューは味わえない。

さらに、この日はそれで終わりではなかった。
関係者のほとんどが民宿・海の家で宿泊する。
それはもう、みんな疲れに高揚感に睡眠不足にで酔っぱらってぐだぐだだったけど、生産者、ミュージシャン、行政マン、出展者、お客さんが入り交じって大爆笑。酔いつぶれた順に、みんなで雑魚寝。そんな二次会がまた最高だった。

少し話はそれるが、この日、多くの子どもたちも宿泊していたんだが、
父として参加していて、なおかつ手が空いていたのは僕一人だった。
そんな訳で「あ!こうちゃんお願いできる?」という自然な流れで、男子たちと一緒に入浴することになった。

蓋を開けてみればひとつの風呂に大人1人と小学生3人と幼稚園児2人。
男児が5人も集まるともうね、ひどいね。
何言っているかわからない。
あちらこちらで大声で騒ぎ、挙句なぜかちんちんをいじりだす。
お湯を掛け合い、洗面器を取り合い、勝手に上がっていく。
混みすぎて湯船にすら入れなかった僕は
「危ないことはしない!」「怪我しないように!」と裸で叫び倒し、もう好きにしてくれと悟りを開いてしまった。

で、子どもだけ11人、大部屋で一斉に寝てるの図。これは圧巻(笑)

この宿泊した宿、民宿「海の家」は
今年から富樫一仁さんの奥さん、まりさんが女将として切り盛りしている宿だ。
そのため、朝食がまた最高に豪華だった。

ばっちり二日酔いにも関わらず、あれもこれも食べたくなってしまう。
超甘い自然栽培トマト(よしもり牧場)に
オクラのムース(シゼントトモニイキルコト)
自然栽培の大豆を使った豆腐や納豆(秀明ナチュラルファーム)に味噌汁。
放牧豚のハム(ファームブレストウィンド)
グラスフェッドモッツァレラチーズ(村上牧場)などなど

「きゃー、何これ!朝からすごいおいしいヤツじゃん!」と各所から喚起の声があがる。
「おかわり!」子どもの箸も止まらない。

おいしいのは当たり前で
その上に、生産者みんなの顔が目に浮かぶ(というかすぐそこにいる)幸せ。
世界最高の朝食はパンケーキじゃない、これだ!と思わずにはいられなかった。

「最高の朝食ですね」 と言うと
「いつもはこんな風に出せないのよ」 とまりさんは言った。

民宿に来るお客さんは、自然栽培とかスロウフードとかに興味がない人も多い。経営を考えると、美味しくても少々値が張る山の会の材料は使いづらいらしい。

「こうして理解のある人たちが味わってくれるのって作っていてもほんと幸せだわ」 としみじみつぶやいた。作ってもらって、こうしてみんなで味わえて僕らも幸せです。
海フィールの締めがこんな極上の朝食だなんて、マジ最高でした。

数日後、村上牧場の妙ちゃんが島牧にやってきた。
「この間はありがとう。お疲れさま〜!楽しかったね。これ、謝礼」 と言って手渡された袋には、村上牧場の牛肉や妙ちゃんが加工したコーンビーフなど。それによしもりまきばのトマト。
お金では買えない極上の報酬(実際販売していない)。
でも、何より妙ちゃんたちの力になれたこと、一緒に楽しめたことが嬉しかった。

「美味しいって、幸せってこういうことだね」
「やってよかったね」と 夫婦で再確認。

できることや作っているものを持ち寄って、等身大で少しずつよりよい社会を廻していく。

こういう幸せな物技交換はぜひ今後もやっていきたいな。
(※MC、DJ関係は慈が、子守りは僕が請け負います)

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